2012年8月8日水曜日

区分法4 区分法の本質②

前回に引き続き、区分法における所有権絶対原則の修正についてです。
共用部分の持分に関しては、
自由に処分できないことは、
もう大丈夫ですね。

では、
専有部分は?

自分の部屋だから、
自由なはず…
処分は原則自由ですが、
使用方法に関して、
所有権絶対の原則が修正されています。

◎共同利益に反する行為をしてはならない。
◎使用方法に関し、管理規約で制限を受ける。

今回は、上の《共同利益に反する行為をしてはならない。》
取り上げけみます。

「そりゃそうでしょう。
なんか見慣れない表現だけど、
迷惑行為でしょ。いかんいかん!
でも迷惑行為ダメなのは、民法もでしょ?
確か、不法行為責任なんかで…」
と言いたいところですが、

その前に、
意外といえば意外、当然といえば当然の話から。

人というのは、何かと自分の権利ばかりを主張し、
人の迷惑を考えないですね。
大人も子供も同じです。

ゴミを出すのがめんどくさいから、
自分の家にため込む。
近所の人が腹立たしいから、
大音量でラジカセを流したり、布団をパンパン叩いたり。
いましたね。(´;ω;`)

では、
そういう人たちに、どのような措置をとれるかですが、
心身障害が生じれば、損害賠償できます。
あまりに行為がひどいと、差止め請求できることがあります。
しかし…
また音を出します。ゴミをためます。
繰り返され、根本的解決は、
本人の改心を待つしかありません。
本当は、出ていって欲しいですよね。
ただ、
迷惑行為者本人も所有者である以上、
建物そのものの使用を
止めることはできないのです。
これが、所有権絶対原則であり、
その弊害ともいえます。

戸建社会でもかなり問題ですが、
これが、壁一つしか隔てていないマンションでは、
たまったものじゃないですよね。

そこで、
◎マンション(区分建物)の場合、
①行為の停止の請求、
に加え、
あまりに迷惑行為がひどいときは、
②建物そのものの使用を禁止し(使用禁止請求)、
③所有権を奪ったり(競売請求)、
④違反賃借人から取り上げたり(引渡し請求)
できるようしています。

では、どのような行為が、
区分法にいう
共同利益違反行為となるでしょうか?
過去問です。

①個人の絵画教室の宣伝のため、外壁に看板をボルトで取り付けたる行為(マ02-4-2)
②管理者の人格を中傷するビラの配布(マ07-3-2)
③幼い子供達が一日中ドタバタと走りまわり、階下の人が床(フローリング)騒音に悩まされている場合(マ07-10-2)
④ベランダを温室に改造し、直接大量の土を盛り草花を植え付けてガーデニングを行っている場合(マ07-10-3)
⑤自己の専有部分への危険物の持込み(マ07-03-1)


①○正解肢
②×正解肢
③×
④○正解肢
⑤○

ここでも考え方ですが、
所有権を奪ってまで、
迷惑行為をやめさす権限を付していくので、
簡単に認めるわけにはいきません。
そこで、
◎共同利益違反に該当するかの判断は、「一定の広範囲な区分所有者に影響を与える」ものに限定しています。
個人に対する不法行為(②)や、
迷惑を被っているのが、特定人だけ(③)
の場合該当しません。
建物損傷行為(①)、避難経路を塞ぐ行為(④)
危険物の持ち込み(⑤)は、
結果、かなりの人に影響を及ぼすおそれがあるので、
共同利益違反行為としています。
迷ったときは、
多数の人に迷惑がかかっているか(かける恐れがあるか)
で判断してください。
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